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食べ終わった野菜のへたや根元を育ててみたらどうなる?素朴な疑問から始めてみました。簡単にできて節約にもなる、そして何よりも短期間で著しい成長を遂げるため子どもたちも楽しく学べます。SDGsの一環である食品ロスにもつながるリボベジ、自由研究にもよさそうですね。育て方から食べるまでをまとめました。
SDGsとは
「持続可能な開発目標]Sustainable Development Goalsの略称です。
「誰一人取り残さない」持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標。
これまでは主に発展途上国に向けた目標でしたが、2015年に国連サミットで採択されたSDGsはすべての国(政府)が取り組むだけではなく、私たち一人ひとりの行動によって目標の達成を目指すものとなっており、貧困・教育・ジェンダー・持続可能な消費生産・気候変動・海洋資源などの17項目で掲げられています。
詳しくは 外務省ホームページSDGs
小学生向け パナソニックホームページSDGsって知ってる?SDGsキッズ版
食品ロスとは
食べることができるのに捨ててしまう食品のことを食品ロスあるいはフードロスといいますが、海外ではfood wasteといいます。野菜の根元や切れ端は食べることができないので、日本では食品廃棄物、海外ではfood lossというようです。
リボベジとは
リボーンベジタブルの略で、調理の際に野菜の切り落としたヘタや根元を栽培して再度収穫する再生野菜のことをいいます。英語ではregrow vegetables~で表現すると伝わるようです。
栽培法としては手軽にできる水、よりしっかりと育つ土とがありますが、今回は水耕栽培にチャレンジしてみました。
やってみよう!
所要日数はおよそ1週間~2週間です。
準備物
水
容器(空き瓶やペットボトルなど)
場合に応じてスポンジ
栽培する野菜の自立が不安定な場合、容器に合わせたスポンジに切り込みを入れて挟んであげると、傷めたり水につけ過ぎることもなく栽培できます。
①野菜の切れ端を集める
豆苗 水菜 みつば 小松菜 チンゲン菜 大根 小ねぎ 人参…など
上記にあげたものは栽培しやすい野菜で、このほかにも芽キャベツやレタス、ほうれん草もできるそうです。
おすすめは、失敗しにくい「豆苗」です。
栽培の成功ポイント
切り落とす時には、ある程度の長さを残しておきましょう。
・根菜類の葉を育てる場合は、切り口が傷みやすい為、3㎝ぐらい残して切り落としましょう。
・葉ものの根元は5㎝ぐらい残します。
・豆苗は根元からおよそ5㎝ぐらい残します。
豆苗の収穫を早めたいなら、根元の方に生えている葉(わき目)を下から2つのところまでを残しておきましょう。
水の量は、根元が浸かる程度。
水に浸かった部分は痛みも早いので、切り落とした野菜の根元が浸かる程度の水の量にします。
豆苗の場合、白い根が絡んでいる層の2/3ぐらいまでにしましょう。
置き場所は、直射日光のあたらない、屋内の明るい場所。
植物は光合成によって成長するため、日光に当てた方が良いような気がしますが、直射日光に当てると容器にためてある水に菌が繁殖しやすく、特に夏は水温も上昇するため野菜自体もダメージを受けやすいです。
そのため、直射日光にはあてず、屋内の自然光が入る窓辺といった明るい場所で育てましょう。
②水で栽培。失敗しないための対策
水耕栽培のトラブルといえばぬめり、臭い、腐敗、カビの発生が主です。
対策として次の3つを心掛けましょう。
水は毎日取り換えましょう。
水道水には消毒作用のある塩素が含まれていますが、常温で放置しておきますと効果が薄れ細菌が繁殖します。
異臭、カビがみられたら野菜も腐敗が進みますので、必ず1日1回、水の交換をして防ぎましょう。
ぬめりはきれいに洗い落とす。
お水の交換をする際に野菜の根や断面を確認しましょう。
ぬめりが出ると水質も悪くなってしまうので、手でこすってきれいに洗い流します。
また、野菜にぬめりを感じたら容器もぬるぬるしていることが多いのできれいに洗い落としてください。
夏や気温の高い日は水の交換を2回にしてみる。
夏に栽培する場合、朝夕の2回交換すると失敗しにくいです。
特に豆苗や小ねぎはぬめりが出やすいため2回にしたところ改善できましたのでお試しください。
③さあ収穫だ!
豆苗のようにすくすく伸びるものもあり収穫のタイミングが分かりにくいですよね。
我が家の収穫タイミング
小ねぎは、ある程度伸びて(10㎝以上)曲がり始めた頃や少ししおれてきた頃。
豆苗は、買ってきた時と同じ長さぐらい~プラス10㎝位
人参の葉やチンゲン菜、みつばは5㎝位
水による再生野菜は、買ってきた時よりも育った部分が薄くて弱いので、豆苗を除き同じような大きさになるまで育てるのは難しいと思います。
ですが、小ぶりではあっても柔らかくて食べやすいといった良さもあります。
さらに。
豆苗の場合はもう一度、収穫する事が出来ます。
買ってきて食したのが1回目とすると、2回目も同量位の収穫、3回目はあしらい程度ではありますが食べることができます。
④とるタイミングを逃すと・・・
豆苗の食べごろを過ぎると
成長し続け地面を這うような形で伸びていきます…。
そして、だいぶ伸びてしまったものは食べても硬いです。
他の野菜も育てすぎてしまうとくさったり硬くなってしまうので、タイミングを逃さず美味しく召し上がりましょう。
食べてみよう
買ってきた野菜と比べると食べることのできる量は減りますが、料理に彩を添えるあしらいとして使うこともできますし、葉物はミックスして調理すると副菜にすることができます。
素材の味を活かした「生春巻き」
リボベジの豆苗、水菜、小ねぎ、人参の葉、レタスなどを使うとよいでしょう。
今回は豆苗、小ねぎ、人参の葉のリボベジで作りました。
その他の材料
レタス
スモークサーモン(代用としてカニかま可)
アボカド
スライスチーズ
ライスペーパー
作り方
①豆苗は湯にさっとくぐらせて、食べやすいサイズに切ります。
②小ねぎも適度なサイズに切ります。その他、人参や水菜の葉の部分はお飾り用として使います。
③レタスは水洗いし、適度な大きさに手でちぎり、アボカドはスライスします。
④ライスペーパーが入るくらいの大きなフライパンにぬるま湯をはり、手早くライスペーパーをくぐらせて乾いたまな板などにのせます。硬くても巻いているうちに柔らかくなっていきますので大丈夫です。(霧吹きで戻すこともできます。商品の袋うらに使い方がのっていますので確認して下さい)
⑤レタス数枚と①、スライスチーズ1/4を④の手前側にのせたら春巻きの要領で1度きつめに巻きます。
⑥ライスペーパーの余白で、⑤のすぐ間近なところにさらに残りの具材をのせて巻いていきますが、包み終わった際の表面となるので、具材はきれいに盛り付けていきましょう。
例)中央にリボベジの人参の葉をのせ、次にアボカド、小ねぎ、スモークサーモン1枚またはカニかま。
⑦⑥を半分に切ってお皿に盛り付けします。この際、皮同士が張り付かないようになるべくすき間をあけるとよいでしょう。
⑧お好みでスイートチリソースや中華ドレッシング等をかけて食べても美味しいですね。
少なくても色々混ぜれば1品できる 「野菜そぼろあん」
リボベジの小松菜、人参の葉、チンゲン菜、大根の葉などを使うとよいでしょう。
今回は豆苗、長ネギ、チンゲン菜を使って作り、お弁当にしました。
その他の材料
豚肉
しょうが
調味料(みりん、砂糖、しょうゆ)適量
水溶き片栗粉
作り方
①野菜を細かく刻み、しょうがはみじん切りにします。
②豚肉はひき肉を用意し、熱したフライパンで炒めます。
③ひき肉から脂が出てきたら、余分な脂をキッチンペーパーなどで吸収させて除き、みりん、砂糖、しょうゆを加え、①も入れて炒めます。
④野菜が鮮やかになったら火を止めて、水溶き片栗粉を加えて余熱でとろみをつくります。
⑤ごはんにかければ完成です。
その他レシピ
ヤマサ醤油株式会社のコーポレートサイト「にんじん葉のおかか炒め」
自由研究として
葉もので根元が残っている野菜、葉や茎が生えてきやすい人参などが栽培しやすいようですが、いろいろな食材で試してみましょう。
毎日すること
気温や成長の様子の記録をとる
水の交換とお手入れ(野菜の切り口と容器のぬめりを洗い流す。腐っている部分を取り除くなど)
育ててみた結果はどうだったでしょうか?
収穫できた
成功のポイントや工夫したことも書きます。
うまくいかなかった
原因と思われることを書きだします。
例えば
お水の量や交換をしましたか?
野菜や容器のぬめりをきれいに取りのぞきましたか?
野菜を置く場所は直射日光があたらない所で、なおかつ屋内の明るい窓辺などに置いていましたか?
お世話の面で問題なさそうなら、次のことも考えられます。
水による栽培に向かない野菜
そもそも再生野菜に向かない
例えば、私の失敗例をあげますね。
今回のチャレンジは6月。梅雨入りかといわれるタイミングで始めました。
室内温度はおおよそ22℃。
ちょっといつもより暑いなと感じた時には1日2回、水の交換をしました。
しかし・・・
キャベツ、ほうれん草、水菜はうまくいかなかった。
全体的な原因として考えられるのは
・気温が高く天候の悪い日も多かった
・気温の高い日に水の交換を忘れてしまった
特に水菜は、少し葉が生えてきたところでのタイミングで水の交換を忘れてしまい、腐ってしまいました。
もしかしたら、傷んでいた部分を早めに気づいて取り除けば、何とかできたかもしれません。
しかし、
キャベツとほうれん草は「水で栽培した後に、土へ植え替えて」育てた方がよかったようです。
もともとはどのように栽培されていたのか、元をたどれば答えが見えてくるかもしれませんね。
豆苗とかいわれ大根のちがい
豆苗は発芽野菜なので、かいわれ大根やブロッコリーのスプラウトなども育つのかなと思ってしまいますよね。実は育ちません。なぜでしょうか。
答え 成長点がちがう
成長点とは、植物が成長するために細胞分裂を活発に行っている部分のことをいい、植物の根または葉の先端にあります。
豆苗の成長点
買ってきた豆苗の根元の方を見ると、わき芽(側芽)がありますが、その部分に成長点があります。再び食べることを考えてカットする時にわき芽を2つ残すのがポイントといわれていますが、1つ芽を残すよりも成長が早いためのようです。
かいわれ大根の成長点
かいわれ大根はふたつに分かれた葉の部分が成長点になります。よく見ると豆苗のようにわき芽がありませんから、上部だけを食べて再び栽培してみても育ちません。
このように自由研究では、いろいろな野菜の切れ端で試してみて、うまくいかなかった原因を調べるのもよいですし、いくつかの環境を設定してどれが一番育ったのか、厳しい環境下のなかでの栽培法とは、などをまとめるとよいですね。
最後に、我が家の記録をまとめましたのでご参考になれば幸いです。
我が家のリボベジ記録
リボベジした野菜
人参 豆苗 キャベツ ほうれん草 チンゲン菜 レタス 水菜 細ねぎ 長ネギ みつば
天気 梅雨入りのため曇りも多く、気温も高め。
室内温度 おおよそ22℃
場所 直射日光は入らないが明るい窓辺で栽培
※食べてからなので開始日が異なります。
※外気温の高い日は水の交換を1日2回行いました。
人参
3日目 茎が4㎝伸び、葉も開き始めている。
5日目 伸びた部分が5.5㎝
6日目 6.5㎝ おおよそ1日1cmの成長を遂げている。
8日目 長いもので10㎝
11日目 長いもので13㎝
14日目 16㎝ カットして食べる。オレンジ部分でしおれているものや痛み始めたものを除き、再び栽培。
16日目 また葉が生えてきた。
生食するとパセリの風味を強くしたような味わい。後味で人参の香りがした。生春巻きに使用。
豆苗
3日目 4㎝前後伸びる
4日目 9㎝
6日目 18㎝ 日差しのある方へと伸びるため、斜めに育つ。向きを変えると真っすぐ、あるいは反対側へ反れている。
14日目 25㎝ 1回目と同じ部分からカットして食べる。
先端の方は柔らかくて食べやすい。半分から根元の方はやや硬めで繊維が残る。生春巻きに使用。
キャベツ
3日目 断面が傷み、臭いもあるのでその部分を切り除く。
5日目 小さな葉が伸びてきている様だが腐敗がすすみ、終了。
再びチャレンジするも、腐敗し失敗。
ほうれん草
6日目 外側が傷んできたため取り除くと中から新しい葉が小さく見える。
8日目 花の部分が育っているものの全体的には色が抜けて成長している様子もなく、終了。
チンゲン菜
1日目 早くも中心部から葉らしきものがみえる
2日目 葉が5~8mm伸びている
3日目 伸びた部分が2㎝ 葉の途中で切ってしまったものもそのまま育っている。
5日目 3.5㎝ チンゲン菜というよりも小松菜のような葉と色合い。
8日目 4.5㎝
14・15日目 外側の茎から傷み始め、水替えとともに取れる。
16日目 葉の部分が5~6㎝ 1株から3つの葉が育っている。
17日目 外側の茎がだいぶ取れてしまったので、終了。
生食するとチンゲンの風味はあるものの苦い。量としては3~4株で1人分のスープ位の収穫になった。野菜そぼろあんに使用。
レタス
7日目 伸び率は悪いものの葉は広がりをみせている。
11日目 全長7㎝位。根元が傷み始めている。
12日目 大きな葉が1枚しおれてしまったので、終了。
生食すると薄くて柔らかく食べやすい。
水菜
2日目 所々に葉が見える
7日目 腐った株を取り除く。
8日目 育った葉は1㎝位。腐敗が進んだため終了。
生食すると、普段の水菜の風味や食感と変わらずおいしい。
小ねぎ
1日目 開始当日から伸び始め、夜には2㎝伸びていた。
3日目 伸びた部分が7㎝位。元の部分を含めて12㎝位。臭いがきつくなってきたのもありカットして終了。
生食すると柔らかくて辛みも少なく、生春巻きに使用した。
長ネギ
7日目 中の緑の部分が少しずつではあるが、伸びてきている。
11日目 伸びた部分が4㎝ 全体的に水分が抜けて硬い。
15日目 7㎝になり、収穫。
根元の方を触ると硬かったものの、食感には問題なし。生食ではふつうに辛みのあるねぎの味。野菜そぼろあんに使用。
みつば
2日目 所々に葉がみえる
3日目 2㎝伸び、葉が開いてきている。
6,7日目 葉がしおれているものや、一部傷んできたため終了。
生食すると、買ってきたものよりも風味は弱いがおいしい。
あとがき
こうしてみると、しっかりとまとまった量を再収穫するにも豆苗が一番でした。人参は一度に数本も食べたりしないので、再収穫し調理するとなると量が乏しくはありますが、成長が早いことと葉だけを摘めばさらに(3度目)生えてきますので、1週間に3個位用意できると、量もとれると思います。
さてさて。
簡単・節約・自由研究にもということでまとめましたが、節約の面においてはちょっと違うと思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。豆苗は購入時と同じくらいの収穫になるのでお得感ありますが、他の野菜は思ったほど量がとれないからです。
しかし、料理に彩を添えるあしらいや薬味を少量購入すると割高ですよね。そうした使い方であれば節約になっていると言えるのではないでしょうか。
普段なら捨ててしまう部分。
再び食材として育み、収穫、もう一度食べるというのは楽しく、再生野菜であふれた窓辺は癒しの効果もあったような気がします。我が家では今度は涼しくなってきた頃に再チャレンジしてみようと思います。
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